なぜ新耐震住宅は倒れたか?

建築士の日常

ショッキングな題名ですが、日経ホームビルダーの編集の本の題名です。

熊本地震では、数多くの住宅が被災されました。

復興までに20年は、掛かるといわれている熊本城や阿蘇神社も現在、一生懸命に皆さん頑張っていらっしゃいます。

2016年の4月に発生した熊本地震は、我々住宅建築に携わる者たちにとって衝撃でした。

築年数のかなり経年した住宅を耐震するのは、私どもは得意にしておりますが、「新耐震基準」より後の2000年以降に建築された建物は、「2000年基準」と言われ、私どもでも現行の基準のため大丈夫と考えれてきました。

震度階で7を二回も経験された益城町では、戸建て住宅の被害が顕著でした。

現行の耐震基準では、震度7ぐらいの地震においても倒壊しないことになっています。

それが、設計ミスや施工の不良ではなく倒壊したのであれば、いままでの常識が覆されてしまいます。

学会や国土交通省も調査チームを編成してこの一年あまり調べてきました。

「悉皆(しっかい)調査」という被災された住宅をくまなく一軒ずつ丁寧に調べることで、だんだん原因が見えてきたようです。

熊本地域の地震地域係数も0.9とやや低めに設定されていることも原因の一つと言われています。

しかし、いろいろな調査の方の資料を拝見すると、「直下率の不足」や「地震の増幅の恐れのある軟弱地盤で、2回の震度7に耐える壁量が不足」していたようです。

また、耐力壁として使用する方法として「筋交い」が数多かったそうで、筋交い部分の粘りのなさからくる崩壊も多かったそうです。

建築基準法は、あくまでも最低の基準を定めている法律です。

基準法ぎりぎりであれば、予想される地震動が大きければ大きいほど倒壊までのプロセスが早くなってきます。

今後は、熊本の経験により繰り返される、大きな地震に対しても対策されるようになり、地震に対しての意識も変化していくことでしょう。

熊本の皆さまの復興が、一日でも早く叶うことをお祈りいたしております。

在りし日の熊本城

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