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リフォーム全般

最終更新日:2021/10/05

古い木造の家が、冬寒くて困っています。リフォームで解決できますか?

築40年近い木造の古い家に住んでいます。

新しい家に比べて、とにかく冬の寒さが堪えます。特に1階が寒くて困っています。

この寒い家をどのようにしたら改善できますか?リフォームで解決して、冬でも暖かい家にできるでしょうか?

(江東区・Y様)

寒い家のリフォームに関するご質問ですね。

リフォームアドバイザーの塩谷理枝がお答えします。

塩谷理枝プロフィール

リフォームで気密性を高め、断熱を施すことで、冬も暖かい家になります。

ポイント

  • 高気密・高断熱の家にリフォームしましょう。
  • 湿度の調整も大切です。
  • 空気をバリアフリーにするとヒートショックも防げます。

「気密性」と「断熱性」を改善しましょう

リフォームのご要望として「寒さをどうにかしたい!」と言われる方がたくさんいらっしゃいます。 私たちも、冬場、経年した戸建て住宅に伺うと「芯から冷えるお部屋だな...」と感じることが少なくありません。

こうした古い家の寒さは、どんなに暖房しても解決できません。 暖房器具で部屋を暖めたそばから、またすぐに寒くなって、結局は光熱費が上がるばかり、ということになってしまいます。

では、どうすれば良いのかというと、建物の「気密性」と「断熱性」を上げるほかありません。 家の気密性と断熱性に問題があるため、せっかく室内を暖めても、暖かい空気を保つことができないのです。

古い家でも、気密性と断熱性を改善すれば、小さなエネルギーで十分に暖かな空間を実現できます。

気密性を上げる方法は?

まず、部屋の隅などから隙間風が入ってくる場合には、内部から補修をして、外気の侵入を防ぎましょう。

日本の木造住宅は、西洋の建物に比べて、窓が多い造りになっています。 窓は建物の中で熱の出入りが一番多く、ガラス面は外気の影響を非常に受けやすいのです。

窓サッシを気密性の高い新しいサッシに替えるだけでも、気密性を高める効果があります。 さらにガラスをペアガラスにすると、より外気の影響を受けにくくなります。

マンションなどで窓サッシの交換が難しい場合は、インナーサッシを活用するのも一つの手です。詳しくはリフォーム素材のページをご覧ください。

インナーサッシと木製サッシ

昔ながらのサッシを複層サッシに交換しました。(荒川区・S様のリフォーム事例より)

断熱性を上げる方法は?

築年数の長い建物では、壁・床・天井の断熱材が不十分な場合がほとんどです。 断熱材がまったく入っていない家も珍しくありません。 断熱材が入っていても、経年した断熱材が湿気を吸って落ちていたり、量が十分でなかったりします。

こうした建物の断熱性を上げるには、壁をいったんはがして、断熱材を施工します。現在では高性能な断熱材が開発されているので、格段に暖かくなりますよ。

木造住宅の1階が特に寒いという場合は、ほぼ100%、床の断熱が足りていません。床下から上がってくる冷気が、室内の温度を下げているのです。 床にもしっかり断熱材を施工することで、断熱性を上げることができます。

断熱性を上げる具体的な工事や費用については、下記のページをご覧ください。

冬に寒い古い家を暖かくリフォームするには

床下に断熱材を入れ、半地下のお部屋も暖かくなりました。(渋谷区・O様のリフォーム事例より)

湿度も適度に保ちましょう

そしてもう一つ、湿度の問題も忘れてはいけません。

体感温度は湿度によって変わります。同じ室温でも、乾燥した部屋と、適度に湿度のある部屋では、湿度のある部屋のほうが暖かく感じるのです。 冬は乾燥しているとより寒く感じ、ほどよい湿気で寒さが軽減されます。

気密や断熱をしっかりした上で、湿度を調節してくれる素材を施工することも、冬の寒さ対策として有効です。 日本特有の湿気と上手に付き合うことで、快適な住空間を手に入れることができるのですね。

湿気を適度に通す透湿シートを施工。(江東区・K様のリフォーム事例より)

調湿に最適な素材は?

リフォームで室内の湿度を調整するためには、自然素材を使うことをオススメします。

床を合板のフローリングにするのは避け、無垢フローリングやコルクタイルを選びましょう。 無垢材の調湿効果については、下記のページをご覧ください。

無垢材の良さとは?

壁や天井には珪藻土や漆喰などの天然素材、または紙がすき込まれたクロスを採用すると、暖かく感じられる空間になります。 また、湿度が一定に保たれることで、冬場に暖かいだけでなく、夏も涼しいお部屋になります。

他にも調湿素材の利点は多く、実際に無垢の床や塗り壁を採用されたお客様からは、「夏でもエアコンを使うことが減った」「部屋が乾燥しないので肌荒れしない」「静電気がおきなくなった」などたくさんの声をいただいています。

紙と木のチップからできた自然素材の壁紙・オガファーザーを施工。(文京区・N様のリフォーム事例より)

空気をバリアフリーに

家全体の気密性・断熱性を上げると、どの部屋の室温も一定な「空気のバリアフリー」状態になります。

リビングや居室がどんなに暖かくても、廊下やトイレ、お風呂などの空間が寒いと、お部屋を移動した時にヒートショックが起こる可能性があります。 ヒートショックは温度差により血圧が急上昇し、心臓や血管に問題が起こる症状で、命の危険にもつながります。

特にご高齢のご家族がいる場合は、床のバリアフリーだけでなく、空気のバリアフリーも考慮したリフォーム計画をオススメします。 きちんと計画されたリフォームなら、家の性能を効果的に上げることができますよ。

家の中の温度差が少ない「空気のバリアフリー」を考えたリフォーム。(板橋区・S様のリフォーム事例より)

高気密・高断熱の家の注意点

古い木造住宅の多くは、今の木造住宅に比べて、気密性・断熱性が低くなっています。 これまでご紹介してきたように、気密性と断熱性を上げれば、冬の寒さをリフォームで解決することは十分可能です。

ただし、気密性と断熱性だけを考えたリフォームはオススメできません。 例えば、室内に調湿性のない素材を多用すれば、常に加湿が必要なほど乾燥してしまいますし、化学物質の多い仕上げ材によってシックハウス症候群を発症する恐れもあります。

家全体をトータルで考えたリフォーム計画と適切な施工によって、室内の空気を上手にコントロールすることがポイントです。

また、室内が極端に冬暖かく、夏涼しいことは、身体のために必ずしも良いことではありません。冬でもそれほど寒くない、夏でもそれほど暑くない、というくらいの室内環境を目指しましょう。

エコリフォームのリフォーム事例から、高気密・高断熱リフォームで寒い家を暖かく改善した事例をご紹介します。

築50年以上の狭小住宅を、夏も冬も快適に過ごせるお住まいにしました。 (渋谷区・K様のリフォーム事例より)

予算内で集中的にリフォームを行い、ご高齢のご両親が過ごしやすい家を実現しました。 (墨田区・U様のリフォーム事例より)

寒くて暗かったリビングが、スケルトンリフォームで暖かく明るい空間に。 (豊島区・O様のリフォーム事例より)

冬場はしんしんと冷える寒い家でしたが、断熱性を上げて暖かい家になりました。 (台東区・I様のリフォーム事例より)

断熱材がなく寒かった増築部分をリフォームして、ヒートショックの恐れもなくなりました。 (江戸川区・M様のリフォーム事例より)

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