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地震と建物

最終更新日:2021/03/30

木造住宅の耐震補強をしたいのですが、あまり費用がありません。

築50年ほどの木造の家に住んでいます。

大きな地震が心配なので耐震補強をしたいのですが、あまり予算がありません。

木造住宅を耐震補強するときに、どんな工事を優先するのが一番有効なのでしょうか?

(江東区・A様)

木造住宅の耐震補強に関するご質問ですね。

一級建築士・耐震設計士の塩谷敏雄がお答えします。

塩谷敏雄プロフィール

まずは耐震診断を行い、耐震補強方法を検討しましょう。

ポイント

  • 耐震診断で現状を知ることが大切
  • 耐震補強の方法によって費用が異なります
  • 耐震補強助成金を利用できる可能性も

木造住宅に限らず、住宅は一つ一つ違っています。立地条件や敷地の形状が違うのはもちろん、使われている素材や工法、家の構造や間取りもそれぞれ異なっています。

ですから、「どんな家でも、ここを耐震補強すれば安心」という部分はないのが正直なところです。

耐震診断をしましょう

耐震補強をした方がいい箇所がどこなのかは、今の建物の状態をしっかり把握しなければわかりません。 そこで、まずは耐震診断を行うことをオススメします。

耐震診断には、家を解体することなく目視で行う「一般診断」と、家の一部を解体して内部までを調査する「精密診断」があります。 どちらの診断も、建物がどのくらい劣化しているか、耐震金物が設置されているかなどを確認し、その建物の地震に耐える力を判定します。

耐震診断の結果は、「構造評点」と呼ばれる数値で表されます。 建築物に関する知識を持ったプロの目で耐震診断を行い、現在の建物の危険度を確認した上で、耐震補強を考えていきましょう。

耐震診断について詳しくは、下記のページをご参照ください。

耐震リフォームの方法

塩谷敏雄が耐震診断中の様子。非破壊ですが、床下までしっかり調べます。

耐震診断をする人は?

耐震診断は、耐震診断士や一級建築士、二級建築士、木造建築士などの資格者によって行われます。エコリフォームでは、私、塩谷敏雄が一般耐震診断を行っています。

耐震診断の依頼をお考えの方には、こちらのQ&Aも参考になると思います。

耐震診断は、どんな資格を持つ人がしているのですか?

耐震補強工事の内容を知る

一口に耐震補強リフォームと言っても、実際にはどのような工事が行われるのでしょうか。

それを知るために、私たちが開催している木造住宅の耐震セミナーが参考になると思います。 動画で公開している耐震セミナーの内容を一部ご紹介します。

設計施工・地盤・劣化の3つを改善することによって、地震に強い家を実現できることがわかります。 具体的には屋根を軽くしたり、壁を増やしたり、窓を減らしたりといった工事を行います。

木造住宅の耐震セミナーは不定期に開催しています。詳しくは下記をご覧ください。

知っておきたい!正しい木造住宅の耐震

耐震補強金物を使う方法も

それほど規模が大きくない耐震補強には、耐震補強用の金物がよく使われています。 仕口ダンパーやコボットなど、柱や土台などの構造部分に取り付ける耐震補強金物のほか、GDブレースのように外側から施工できるものもあります。

こうした金物などを使った部分的な耐震補強なら、比較的費用が抑えられます。 耐震補強金物について詳しくは、リフォーム自然素材のコーナーをご覧ください。

耐震補強金物で補強を行った一例。(江東区・K様のリフォーム事例より)

具体的にどのくらいの費用がかかるのか

では、耐震補強リフォームには、実際どのくらいの費用がかかるのでしょう? もちろん工事箇所や内容によって違ってきますが、エコリフォームの過去の施工例では、350万円~の工事となります。

スケルトンリフォームでは、構造からしっかり見直して補強することができます。

予算がなくて十分な耐震補強ができず、建物が倒壊してしまったということでは、耐震補強をした意味がありません。 必要以上に費用をかけることもありませんが、信頼できる耐震診断士によく相談して、あなたのお住まいに必要十分な耐震補強をしておくことをオススメします。

耐震リフォームの概算費用は、補強したい部位や耐震診断の結果から計算することができます。 詳しくは下記のページで解説しています。実際に金額を計算できるフォームもありますよ。

耐震リフォームの費用

下記の動画でも耐震リフォームの具体的な費用について解説していますので、あわせてご覧ください。

現況復帰費用もかかります

耐震補強工事の費用以外に、意外とかかってくるのが現況復帰の費用です。

通常、耐震補強工事は建物の内部に対して行われるため、建物の一部を取り壊す必要があります。 柱を補強して、柱が丸見えの状態で終わりというわけにはいかないので、どうしても工事の跡をきれいに直す現況復帰工事も必要になってきます。

多くの箇所を耐震補強すると、現況復帰費用もそれだけ多くかかります。予算が限られている場合、耐震診断の結果から優先順位をつけて、最も弱い箇所から補強していくのがいいでしょう。

耐震リフォームの費用について、こちらのQ&Aもよく見られています。

耐震補強で、評点1.0をクリアするための費用は?

耐震助成金を利用する

東京都では、古い木造住宅の耐震化が積極的に進められていて、東京23区でも多くの区で耐震改修助成制度が設けられています。 ただし、旧耐震基準で建てられた木造住宅に限る、などの規定がありますのでご注意ください。

東京23区のリフォーム耐震助成金情報については、下記のページにまとめましたので、お住まいの区をご確認ください。

東京23区のリフォーム助成金情報

耐震助成金を活用した事例

耐震補強工事だけでなく、耐震診断にも助成金が支給される場合があり、予算が限られている方でも耐震補強工事を行える可能性が高くなります。

しかし、耐震助成金を取得するには、様々な書類や施工中の写真の提出が必要で、手間と時間がかかります。 申請すればお金が簡単にもらえる、というわけではないのでご注意ください。

東京都中央区の木造住宅を改修して、耐震助成金を取得した事例をご紹介します。助成金交付までの流れを詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

中央区の耐震助成金を利用しました

耐震補強金物で補強を行った一例。(中央区・A様のリフォーム事例より)

また、耐震助成金に関連して、こちらのQ&Aもご参照ください。

助成金を使って、長屋を耐震補強できますか?

エコリフォームのリフォーム事例から、耐震補強を中心として行った事例をご紹介します。

住みながらの耐震補強で、建物の揺れが軽減されました。 (墨田区・N様のリフォーム事例より)

大空間となっている1階部分に耐震補強を行いました。 (江東区・N様のリフォーム事例より)

3階建ての家の1階ガレージ部分を耐震補強して、安心できる家に。 (新宿区・Y様のリフォーム事例より)

1階が駐車場になっているお住まいに、仕口ダンパーと壁を施工。 (世田谷区・T様のリフォーム事例より)

倉庫だった1階の壁を増やし、耐震金物でしっかり補強しました。 (文京区・F様のリフォーム事例より)

築60年の木造社屋。業務を止めずに外から耐震補強を行いました。 (新宿区・青谷製作所様のリフォーム事例より)

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