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耐震リフォームの費用

「大きな地震に備えたい」と耐震リフォームの計画を立て始めたら、まず気になるのは費用のことだと思います。 不要な工事に無駄な費用をかける必要はありませんが、費用不足で十分な補強ができず、いざという時に家族の命を守れないのでは困ります。

どのような工事が必要なのか。必要な工事にはいくらぐらいかかるのか。 悪徳業者を避けるためにも知っておきたい、耐震リフォーム工事にかかる費用の考え方と、目安となる金額について詳しくご紹介します。

耐震補強工事の様子

耐震リフォーム費用の内訳

ほとんどの場合、耐震リフォームでは既存の壁や床を解体して、柱や梁、基礎といった構造体を補強する工事を行います。補強後、解体した箇所を補修し、再度内装を施します。

耐震リフォームは、補強前と同じ状態に回復するのが基本です。使い勝手や見た目は改善されず、どこをリフォームしたのかわからないこともあります。せっかく費用をかけてリフォームしているのに、これでは少しもったいないですね。私たちのお客様も「壁を解体するなら、間取りも変更しよう」とか「床を解体するなら、無垢フローリングに替えよう」というように、耐震リフォームと一緒に通常のリフォームも希望される方がほとんどです。

耐震リフォームと通常のリフォームを合わせて行う際の費用の内訳は、下記のようになります。

  • 耐震リフォーム工事費

    • 構造体の耐震補強
    • 屋根の葺き替え
    • 補強箇所の内装

    など

  • 通常リフォーム工事費

    • 設備交換
    • 間取りの変更
    • 補強箇所以外の内装

    など

  • 諸費用

    • 仮住まい費用
    • 引っ越し費用
    • 家具、家電の費用

    など

通常のリフォーム工事費は、リフォーム内容によって大きく変わります。耐震リフォームをメインにお考えの方は、あらかじめ耐震リフォーム工事費を見積もっておいて、残りの費用で通常のリフォームがどの程度できるか検討すると良いでしょう。

計算方法1:補強したい部位から計算

耐震工事にかかる費用の目安を計算するには、2つの方法があります。1つ目は、耐震補強をしたい建物の部位から計算する方法です。日本建築防災協会の工事単価データを基に解説します。

参考:一般財団法人 日本建築防災協会

部位別の単価は?

耐震補強を施す建物の部位によって、単価は下記のようになっています。

  • 屋根

    1.5~2万円/m2

    重い屋根材を、軽い屋根材に葺き替えます。屋根材によって工事費は異なります。

  • 外壁

    13~15万円/壁1枚

    壁を屋外側から筋交いや構造用合板で補強し、外壁の仕上げ工事を行います。

  • 内壁

    9~12万円/壁1枚

    壁を室内側から筋交いや構造用合板で補強し、内装の仕上げ工事を行います。

  • 基礎

    4~5.5万円/m2

    基礎を補強、または不足部分を新設します。補強よりも新設の方が単価が上がります。

※壁1枚は一般的な幅910mmサイズの想定です。

参考:日本建築防災協会『木造住宅の耐震改修の費用』

家1軒あたりでは?

それでは、家1軒ではどのくらいの費用がかかるのでしょうか? どの部位をどのくらい補強するかによりますが、エコリフォームが手がけた過去の耐震リフォーム事例から、だいたいの目安となる費用をご紹介します。

  • 壁の耐震補強イメージ

    150~500万円

  • 壁+屋根の耐震補強イメージ

    250~650万円

  • 壁+基礎の耐震補強イメージ

    250~650万円

  • 壁+屋根+基礎の耐震補強イメージ

    350~800万円

まず耐震補強しておきたいのは壁です。壁の量は建物の大きさに比例して増えますが、必ずしもすべての壁を補強しなければならないわけではありません。壁の量が少ない建物で150万円、多い建物で500万円くらいが目安となります。

壁に加えて、屋根または基礎の耐震補強をおすすめします。屋根は1軒につき100~150万円が葺き替える場合の目安です。基礎は1軒につき100~150万円程度で必要な箇所を補強することができます。もちろん、予算に余裕がある場合は、壁+屋根+基礎の3つの部位をすべて耐震補強した方が、より安心できますね。

日本建築防災協会の調査では、100~150万円の耐震改修工事が最も多いそうです。建物の劣化度によっても金額は変わってくるので、まずは耐震診断を受け、専門の業者に見積もりを依頼するようにしましょう。

計算方法2:耐震診断の結果から計算

耐震工事にかかる費用の目安を計算する2つ目の方法は、まず耐震診断を受け、耐震診断の結果から計算する方法です。現在の家の状態も不明だし、耐震のこともよくわからないという方には、こちらの方法をおすすめします。

参考:一般財団法人 日本建築防災協会

まず耐震診断を受ける

耐震診断を受けると、地盤や基礎の状態、建物の劣化度、壁のバランスなど、様々なことがわかります。 これらの情報を合わせた総合評価として、「評点(上部構造評点)」が算出されるのです。

階・X方向・Y方向ごとに点数が計算され、その中で最も低い点が建物全体の評点です。 評点は「建物がどのくらい地震に耐える力があるか」を示した数値と言えます。

評点を上げ、地震に強い家に

評点の判断基準

  • 1.5以上...倒壊しない
  • 1.0~1.5...一応倒壊しない
  • 0.7~1未満...倒壊する可能性がある
  • 0.7未満...倒壊する可能性が高い

3階建てを2階建てに減築し、耐震補強を含めたスケルトンリフォームを行ったS様邸の例をご紹介します。 築50年を越える建物で、リフォーム前の評点は0.168とかなり危険なレベルでしたが、リフォーム後の評点は1.551までアップしました。

こちらの耐震補強について、下記のリフォーム事例のページで詳しくご紹介しています。

築55年の狭小住宅を「パッシブデザイン」で健康・快適リフォーム

リフォーム前
方向評点判定
3FX0.439倒壊する可能性が高い
Y1.173一応倒壊しない
2FX0.214倒壊する可能性が高い
Y0.442倒壊する可能性が高い
1FX0.168倒壊する可能性が高い
Y0.514倒壊する可能性が高い
総合判定

評点 0.168/倒壊する可能性が高い

リフォーム後
方向評点判定
3FX(減築)
Y(減築)
2FX1.551倒壊しない
Y1.818倒壊しない
1FX1.769倒壊しない
Y1.742倒壊しない
総合判定

評点 1.551/倒壊しない

評点から耐震費用を計算する

耐震診断で現在の評点がわかったら、次に評点をどこまで上げるかという目標を設定します。

本来ならどの家も最高レベルの評点1.5を目指したいところですが、評点を大幅に上げるには、費用もそれだけ多くかかってきます。 現在の評点が0.1や0.2など著しく低い状態なら、評点1.0を目標にすると良いでしょう。

現在の評点と目標の評点の差に、既定の「単位費用」と、耐震補強する建物の延べ床面積をかけ合わせると、耐震工事の概算費用が算出されます。実際の費用は工事内容によって上下するため、おおよその費用とお考えください。

評点のイメージイラスト

単位費用とは

「単位費用」は、床面積1m2あたり、評点を1.0向上させる費用の平均値のことです。日本建築防災協会では、過去に耐震改修工事を行った住宅のデータから、単位費用を「27,000円/評点・m2と算出しました。

実際に計算してみましょう

下記のフォームで、実際に耐震リフォームにかかる費用を計算してみましょう。プルダウンメニューから評点、面積を変更すると、耐震工事費が自動的に計算されます。

単位費用
27,000円

×(

目標の評点

現在の評点

)×

延べ床面積
m2

耐震工事費用:約 243 万円

実例から見る費用

エコリフォームではこれまで多数の耐震リフォームを手がけてきました。過去の事例から、耐震リフォームのみを行った場合と、耐震補強を含むスケルトンリフォームを行った場合の、実際にかかった費用をご紹介します。

耐震リフォームのみの例

約350万円 評点:0.41→0.96

築50年以上の木造3階建て住宅を耐震補強した例です。耐震診断の結果、1階部分が非常に弱いことが判明したため、1階の補強に重点を置きました。耐力壁を増やし、既存の壁も耐震金物で補強。一部内装リフォームも含んだ金額です。

スケルトンリフォームの例

約2000万円 評点:0.43→1.36

築50年の木造2階建て住宅です。全体的に劣化が見られたため、構造のみを残して解体してスケルトンリフォームを行いました。屋根は葺き替えず、壁と基礎を耐震補強しています。自然素材を使った内装や間取り変更も含めたトータルの金額です。

耐震助成金の利用も

東京23区では住宅密集地が多いこともあり、木造住宅の耐震化を積極的に推進しています。各区とも耐震診断や耐震改修工事の助成制度を設けているので、耐震リフォームを依頼する前に住んでいる区の制度を調べてみると良いでしょう。下記に東京23区の情報をまとめているので、参考にしてくださいね。

東京23区のリフォーム助成金情報

耐震助成金は大いに活用したいところですが、費用の大半を助成金に頼るような耐震リフォームはおすすめできません。 耐震リフォームではしばしば予期しない問題が判明し、追加工事が発生することが多いためです。

耐震助成金を利用することで耐震改修の内容をグレードアップして、より安心して暮らせるお住まいにすることをおすすめします。

私たちの手がける耐震リフォームは、どこか1箇所を補強して終わり、というものではありません。基礎を補強し、壁を補強し、屋根を補強し...と、多くの工程を経て完成します。エコリフォームでは、耐震補強一式ではなく、どの工事がいくらなのかわかるよう、詳細なお見積りをお出ししています。

耐震リフォームの費用や助成金に関するご質問には、「リフォームQ&A」のコーナーでお答えしています。こちらもあわせてご覧ください。

リフォームQ&A

エコリフォーム代表 塩谷理枝

一級建築士による無料セミナー「知っておきたい!正しい木造住宅の耐震」

エコリフォームでは、木造住宅の耐震に関する無料セミナーを不定期に開催しています。 地震が不安な方、耐震補強について知りたい方を対象に、一級建築士の塩谷敏雄が耐震リフォームについてわかりやすく解説します。詳しくは下記のページをご覧ください。

知っておきたい!正しい木造住宅の耐震

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