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最終更新日:2021/09/27(2016/10/30公開)
いろいろな物を安く気軽に買えるお店が人気ですが、
丁寧に作られた物を大切に使いたいという人も
増えているようです。
少し高価でも丁寧に作られた物の代表格が、伝統工芸品。
確かに職人さんが手をかけた工芸品は、大量生産品とは比べ物にならない良さがありますね。
今回はそんな職人さんの技が光る「江戸指物(えどさしもの)」についてご紹介します。
指物とは日本伝統の木工和家具のことです。釘を使わずに木材を組み合わせて作ります。
「指物」の語源は、木の板を釘を使わずに指し合わせるからとも、物差しを使って精巧に組み合わせるからともいわれています。
ノミや小刀などを使って、木の板に凹凸を彫り込んで組み合わせることにより、茶箪笥など日常で使う道具を作ります。
指物はもともと平安時代の京都が発祥で、当時は大工が手がけていたといわれています。 室町時代以降は専門の指物師が生まれ、棚や簞笥などの調度品を作っていたそうです。
その後、王朝文化や茶道とともに発展した京指物は、雅で華麗な装飾が施されるようになります。
江戸指物は京指物が江戸に入ってきたもので、最初は商人など裕福な層が使っていました。 江戸時代中期頃に歌舞伎が盛んになると、歌舞伎役者の道具入れなどに使われるようになりました。
京の指物とは対照的に、装飾を施すのではなく、木目や木の色合いを活かしたシンプルなデザインが特徴です。 金物も、取手部分など最小限しか使いません。
江戸指物は、桑、ケヤキ、桐など木目の美しい木を使い、木の美しさを活かすために生漆の塗りと拭きを何度も繰り返す「拭き漆仕上げ」という塗装を施しています。
木材を選び乾燥させるところから金具付けまで、分業制ではなく、1人の職人が手がけるのが江戸指物の特徴です。 現在、江戸指物は国の伝統工芸品に指定されています。
安価な輸入木材を使用せず、伝統の製法を守り続ける江戸指物には、手仕事ならではの細工の細かさや木のぬくもりを感じることができます。
江戸指物の中で最も格が高いといわれ、特に御蔵島産や三宅島産のものが最上とされています。細工の際に崩れにくく、玉杢(たまもく)、銀杢と称されるほど美しい木目が特徴です。
軽くて狂いが少ないので加工しやすい木材です。江戸指物で最もよく用いられています。光沢のある淡黄色で、はっきりした木目が特徴です。
玉杢のほか、如鱗木(じょりんもく)、鶉杢(うずらもく)など、荒々しさを感じさせる木目と堅さが特徴の木材です。
軽くて柔らかく、耐久性にすぐれた木材。簞笥や収納箱、金庫など大切な物を入れる道具の材料として昔から使われてきました。
水にも虫にも強い木材で、素朴さと野性味を感じさせます。すり漆で仕上げると、木目が浮かび上がってきます。
淡緑色で光沢があり、木目もはっきりとしています。すり漆で仕上げると、雄大な風合いが醸し出されます。
伝統工芸品と聞くと和のイメージが強く、現代の洋風な暮らしには合わないのでは?と思ってしまうかもしれません。
しかし、江戸指物は木目を活かしたシンプルなデザインなので、ナチュラルテイスト、アジアンテイストなど、いろいろなインテリアにマッチするんです。
ひとつひとつ手づくりされる江戸指物は、決して安いものではありません。まずは小さいものから暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
ティッシュの紙箱はカラフルなものが多く、インテリアの雰囲気を乱してしまいますよね。江戸指物のティッシュボックスに入れれば、生活感を漂わせずおしゃれに置くことがきます。
軽くて場所をとらないので、チェストの上などに置くのにぴったり。メイクするときにはテーブルの上に移動するなど、持ち運びも簡単です。小さい調度品は比較的お手頃なのがいいですね。
いつも出がけに「携帯がない!」「お財布がない!」と慌てる方におすすめ。玄関やリビングなどの定位置に小箱を置き、そこに必需品を並べるようにすれば朝のバタバタから解消されます。
江戸指物で作られたガラガラもあります。木のぬくもりを感じるガラガラは、出産祝いのプレゼントにもおすすめです。カンナだけで仕上げているので、赤ちゃんが舐めても安心ですよ。
江戸指物に限らず、さまざまな分野で職人さんが減ってきたとか、後継者がいないなどの話をよく耳にします。職人さんが作った工芸品を買って使うことが、大切な伝統文化や職人さんを守ることにつながります。
値段はちょっと高めですが、丁寧に使えばずっと長持ちするので、長い目で見れば節約につながるといえそうです。
「これなら何十年も使い続けたい!」と心から思えるお気に入りを見つけて、ひとつの物を大切に使ってみませんか?