「あぶないブロック塀」のチェックポイント

地震と建物を考える

先日、2018年度の第1次補正予算案が閣議決定されました。
西日本豪雨や地震・台風などの自然災害からの復旧・復興に向けた対策が中心となった予算ですが、その中には「学校の危険なブロック塀改修」の費用として259億円が充てられています。

> 災害復興対策など9356億円 18年度補正予算案を閣議決定 – SankeiBiz(サンケイビズ)
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これは6月に発生した大阪府北部地震で、登校中の児童が倒壊したブロック塀の下敷きになってしまった事故を受けての対応です。

大規模な地震による被害では、瓦の剥落と並んで毎回と言っていいほどの被害が出ているのが、このブロック塀の倒壊です。正しく施工されたものであれば大きな揺れにも耐えられるのですが、メンテナンスが不十分だったり、そもそもの施工に不備があると簡単に崩れてしまいます。

ブロック塀は学校だけではなく、住宅などの塀にもよく利用されているため、普段目にすることが多いかと思います。身の回りのブロック塀は安全かどうか、ご自分でもチェックしてみましょう。

建築基準法の耐震基準

ブロック塀の倒壊による被害が問題視され始めたのは、1978年に発生した宮城県沖地震で、死者28名の中で18名もの人がブロック塀の下敷きになり亡くなったことからでした。そして同時に、この地震による建物の被害が甚大であったことで、1981年の建築基準法の改正へとつながりました。

この改正では耐震基準が強化され、「震度5程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる強さとすること」が義務付けられました。

ブロック塀については建築基準法の中で塀の高さや厚さ、基礎の有無や鉄筋の間隔なども細かく規定されています。しかし、基準以前に設置されたブロック塀の補強がされていなかったり、基準を無視したブロック塀が設置されることも多く、大阪府北部地震で倒壊した学校のブロック塀も基準から外れたものでした。

「たかがブロック塀」と軽視しない

大阪での被害は「たかがブロック塀だから」と甘く考えていた施工者の資質や依頼者の意識が原因であるといえるでしょう。

ブロック塀の耐用年数は30年と言われています。適切な施工を行ったとしても、常に風雨にさらされる環境では長期の耐久性を過信せず、ブロック塀部分は50cm以下の低層にとどめ、生垣やフェンスも併用するべきと唱える大学の先生もいます。

大阪北部地震:ブロック塀低層化を 東北工業大・最知教授 – 毎日新聞

「耐震」というと建物の耐震化ばかりに目が行ってしまいがちですが、巨大地震のたびに被害者を出しているブロック塀についてもしっかりと対策を行わなければいけません。

ブロック塀点検のチェックリスト

国土交通省ではホームページでブロック塀の点検のチェックポイントを公開しています。
ブロック塀をこれから計画される方はもちろんですが、現状のブロック塀をよくチェックして、不備がある場合には改善されることをおすすめします。

出展:建築物の塀(ブロック塀や組積造の塀)の安全点検等について – 国土交通省

また、全国建築コンクリートブロック工業会のホームページでは、危険なブロック塀の一例を写真で公開していますので、こちらも参考にしてみてください。

> 4-1.チェックポイント|4.あぶないブロック塀とは|ブロック塀大事典|全国建築コンクリートブロック工業会

自治体での補助金も拡充

今回このブロック塀の問題が大きく取り上げられたことで、大阪府内だけでなく、全国の各自治体でブロック塀の撤去や生垣などの設置が対象となる補助金制度が新設・拡充される動きが広がっています。

東京23区内では文京区や台東区・新宿区などで「道路に面した十分な安全性が確保されていないブロック塀等」について撤去費用と新たな塀の新設費用が助成される制度があり、その他の区においても、ブロック塀の撤去と生垣緑化工事について助成される場所があります。

東京都の耐震ポータルサイトでは助成を行っている自治体などが詳しくまとめられていますので、こちらもご参照ください。

>ブロック塀の安全点検等|耐震化はなぜ必要?|東京都耐震ポータルサイト

住宅に適用される助成内容は、自治体によって異なります。お住まいの場所で使える制度については、各自治体にお問い合わせください。

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