制震ダンパーという名前もすっかりと一般的になりました。
熊本や能登の地震において、制震ダンパーの優位性が多く報道されるようになったからでしょうか。
耐震の重要性は当たり前になってきました。
しかしながら、本震の後に訪れる数多くの地震に対しては、まだまだ対策が取られているとは思えません。
繰り返し揺れる地震に有効と思われる「制震ダンパー」は木造住宅で極めて有効な手段です。
その制震ダンパーですが、良い点や改善しなければという点もあります。それぞれメリット、デメリットという観点で考えてみたいと思います。
メリット
- 制震構造は、耐震構造の弱点と思われる事柄をカバーできます。
- 免震構造よりも低いコストで導入できる。
- 強風や交通振動などの共振現象にも効果が発揮できる。
- 制震装置は一般的に小型であり、副資材なども比較的必要ない。
- 木造住宅の弱点である「仕口」の強度を補強することができる。
- 比較的取付が簡単なため、導入することに抵抗がない。
- 大きな地震動に対して有効であるが、繰り返す小さな揺れにも有効である。
如何でしょうか。
投入するコストに対して、制震装置は比較的有効なのが 大きな特徴です。
メリットもあれば、一方でデメリットもあります。
あくまでも私個人の意見としてお聞きください。
デメリット
- 制振装置を取り付けるために特殊な計算が必要となる。
- 制振装置単体では建物の崩壊は防ぐことができない。
- 地盤の影響を受けやすい。
- リフォームにおいては、取り付ける場所により大掛かりな工事になってしまう。
- 計算により本数が数多くなる場合、費用がかさんでしまう。
以上のように、コストが問題となってきます。
耐震診断で出た結果を基に、限界耐力計算が必要となってきます。
私どもでも、在宅のリフォームで問題となってくるのは、制震装置の配置箇所です。
リフォームがしやすい場所であるならば問題ないのですが、そこに水回りがあったり、生活に不可欠な場所があるとリフォーム工事が大掛かりになってきてしまいます。
耐震も制震も効果はてきめんなのですが、大きな地震が来ない限り、効果が実感できないという問題もあります。計算では実証されているのですが、何かなければ証明することはできません。
これが大きなデメリットかもしれません。
交通振動や上階の揺れなど生活に密接な事象なら実感できるのですが、なかなか難しいものがあります。
「備えあれば患いなし」と申します。
あくまでも、安心や安全はお金を出して買うことができます。
経験や実績を見て、しっかりとした業者にきちんとした工事をお願いして、正しい制震工事をされて安心してお暮しいただけたらと心から願っております。