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土壁・繊維壁などの塗り壁

最終更新日:2022/02/21

壁の仕上げはクロスが主流になってからだいぶ経ちますが、以前は塗り壁のお住まいの方がずっと多かったと言います。

日本では、漆喰や珪藻土、火山灰の他にも、様々な素材を使った塗り壁が使われてきました。

ここでは、土壁や繊維壁など、その他の塗り壁についてご紹介します。 思わず「懐かしい」と口にする方もいらっしゃるかもしれませんね。

土壁

日本の伝統工法である土壁は、湿気の多い日本の風土に大変適しています。

土壁の建物としてイメージしやすいのは蔵でしょうか。 蔵は食物を貯蔵したり、貴重な家財道具などをしまう場所として使われてきました。

土壁には断熱性、調湿性があるため、暑い夏でも蔵の中はひんやりとした状態に保たれ、冬でも凍ってしまうほど寒くはなりません。 大切なものを保存するための生活の知恵として、土壁の効果が知られていたのですね。

土壁の良さは住まいでも利用されてきましたが、より便利で経済的な壁材が開発され、土壁の住宅は少なくなりました。 しかし近年では、土壁の機能性や環境への優しさが見直され、リフォームでも土壁が選ばれることが徐々に増えています。

土壁のメリット

土壁は調湿性、断熱性、防火性に優れ、自然にやさしい素材です。

  • 呼吸するように吸放湿する土壁は、1年を通じて室内を快適な湿度に保ちます。夏は湿度が高く、冬は乾燥している日本の気候にぴったりです。
  • 土壁の断熱性によって、夏場は涼しく、冬場は暖かく過ごせます。エアコンの使用量が少なくて済むので省エネです。
  • 土壁は素材として燃えにくく、揺れにも強いため、安心して住むことができます。
  • 土壁は職人が編んだ竹に土を塗り、しっかりと乾かし、手間をかけて仕上げます。すべて自然素材で化学物質を使うことはありません。

繊維壁

繊維壁は、パルプや紙繊維、化学繊維などを糊で混ぜ、水で練ったものを塗った壁です。

繊維壁は仕上がりがソフトで、吸音性や調湿性に優れていますが、耐久性はあまり高くありません。

繊維壁の施工は比較的容易で仕上げにもムラが出にくく、技術が未熟でも施工することが可能なことから、1950年代から高度経済成長時代に、住宅の内装として急速に普及しました。

多種多様な製品があるため、好みの色や質感を選ぶことができ、和室、洋室のどちらにも合います。 以前は性能の低いものが多かった繊維壁ですが、調湿性や防カビ性能、有害物質対策などが改善された製品も出ています。

繊維壁がボロボロと剥がれてきたり、キズや汚れが目立つようになったらメンテナンスの時期です。 漆喰の上や、ベニヤ板の上に繊維壁を造ることも可能です。

京壁

京壁は日本の伝統的な塗り壁で、数奇屋建築や茶室の壁にも用いられる本物志向の土壁です。 本来は、京都で産出される聚楽土・九条土・稲荷土を使った塗り壁が京壁と呼ばれていましたが、現在ではこれらの土はほとんど産出されていないそうです。

京壁は落ち着いた雰囲気で高級感があり、日本間を最高に活かす素材と言えます。

京壁の特長

  • 天然土を使っているので、調湿性があります
  • 断熱効果、吸音効果があります
  • 防カビ性、消臭性があります
  • 有害な化学物質を含まず、安心な素材です

大津壁

大津壁は、水で練った消石灰に、土と麻や紙を加えたもので仕上げる土壁の一種です。 滋賀県の大津付近で取れる土を使っていたことが「大津壁」の名前の由来と言われています。

大津壁の中でも、丁寧に磨いて仕上げた「磨き大津」は、艶々とした美しい光沢があり、最上級の土壁とされています。

仕上がりは漆喰の塗り壁に似ていますが、漆喰と違って糊を使用しないため、変色なども出にくくなっています。

土の種類によって色が変わり、白大津や黄大津、浅黄大津などと呼ばれます。 朱や青の顔料を用いて、美しく個性的で暖かみのある表情に仕上げることもあります。

大津壁のメンテナンス

近江の商人屋敷にも使用されてきた高級な大津壁ですが、比較的劣化が早いことから、リフォームで他の壁にしたいと希望される方も多いようです。

大津壁の表面はつるつるしていて、水拭きすることもできますが、乱暴に扱うと剥がれることもあるので注意しましょう。 大津壁の補修は、下地から上塗りまで手間がかかり、補修できる職人も限られています。

美しく、住む人にも環境にも優しい大津壁を、大切に使っていきたいものです。

 

大津壁と似た仕上がりの漆喰についてはこちらをご覧ください。

参照:漆喰の塗り壁・漆喰クロス・漆喰塗料