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最終更新日:2021/09/27(2013/12/01公開)

トイレや洗面に、住まいの陶器

トイレや洗面に、住まいの陶器

毎日の暮らしの中に欠かせない「陶器」。
食器はもちろん、トイレや洗面といった水まわりにも使われています。
そんな陶器の特徴や良さ、有名な産地などをご紹介します。

陶器とは?

日本で一番最初の陶器は、1万2千年前の縄文時代に作られた縄文土器と言われています。 しかし、厳密には土器と陶器は異なり、同じように粘土を原料としていますが、焼く温度と釉薬のありなしで分けられるのだそうです。

粘土を成形し、800度で素焼きしてから釉薬をかけ、1100~1300度で本焼きしたものが陶器です。 陶器は「つちもの」とも呼ばれ、厚手で重く、光を通しません。そのため素朴で力強く、温かみのある印象です。

陶器は表面に微細な凸凹があるため、吸水性が高く、油やニオイも吸着しやすくなっています。 使う前に米の研ぎ汁などで煮沸する「目止め」を行い、食器洗浄機は使用しない方が良いでしょう。

●陶器と磁器の違い

陶器と混同しやすいのが磁器ですが、陶器と磁器の違いは何でしょうか。

磁器は主に石の粉末を練ったもので作られ、1300度ほどの高温で焼かれます。 磁器は陶器よりも薄く、光にかざすと透けて見えます。

磁器の方が硬く壊れにくいため、ご家庭で使用している食器などは磁器製の方が一般的です。

トイレも陶器です

暮らしの中の陶器の代表と言えば、トイレの便器でしょう。 近年では有機ガラス系新素材の便器もありますが、まだまだ陶器の便器が圧倒的に多いのです。

陶器の腰掛水洗便器(洋式の便器)が、日本で初めて作られたのは、1914年のこと。 作ったのは、みなさんご存知のTOTOさんです。

日本陶器合名会社(現ノリタケカンパニーリミテド)の社長だった大倉和親さんが、ヨーロッパを視察した際に洋式の水洗トイレを体験し、「日本にも快適で清潔な生活を」と、洋式便器の開発を始めたのだそうです。大正時代のはじめの頃ですから、先見の明があったんですね。

●どうして陶器なの?

トイレの便器はなぜ陶器で作られているのでしょうか?

便器を陶器で作るメリットは、大きく3つあります。

  1. 安く大量生産できる
    便器は複雑な形をしているので、他の素材では高くついてしまいます。
  2. 汚れにくく清掃しやすい
    隙間や継ぎ目がほとんどないので汚れにくいのです。
  3. 強度がある
    キズがつきにくく、人が長時間座っても耐える強度があります。

便器は直接身体が触れるものなので、温かみを感じる陶器は最適な素材と言えますね。

洗面ボウルも陶器です

洗面ボウルも、陶器のものが一般的に広く採用されています。 よくある陶器の白い洗面ボウルは、見た目もツルッとしていて清潔感がありますね。

他にホーロー製や人工大理石(樹脂)製の洗面ボウルもありますが、陶器の洗面ボウルは、トイレの便器と同様に、安価で汚れにくく、強度があるところがメリットです。

個性的な洗面ボウルがお好みの方には、信楽焼や益子焼、常滑焼など、焼き物の産地の洗面ボウルをおすすめします。 色や柄、形にも様々なバリエーションがあり、オリジナルな洗面台を作りたい方にぴったりです。

常滑焼の洗面ボウルを採用されたリフォーム事例

日本を代表する陶器の産地

日本には有名な焼き物の産地がたくさんあります。お好みの産地の陶器を集めてみるのも楽しいですね。

◆益子焼(栃木県)

関東屈指の窯場です。益子焼は派手さはありませんが、飾り気のない素朴な色合いが特徴です。 茶碗やお皿など、毎日の暮らしに密着した焼き物が多く作られています。

◆常滑焼(愛知県)

常滑焼も古い歴史を持つ、日本六古窯の一つです。 鉄分が多く含まれる粘土を使い、赤く発色させるのが特徴で、オレンジ色の急須がよく知られています。

◆瀬戸焼(愛知県)

瀬戸焼は平安時代の頃から作られているそうで、日本六古窯の一つに数えられています。 東日本で広く流通し、「瀬戸物」という言葉は陶磁器の代名詞ともなっていますね。

◆織部焼(岐阜県)

織部焼は美濃焼の一種で、茶人・古田織部好みに作られた焼き物です。 趣向を凝らした文様や大胆奇抜な形で知られ、織部釉と呼ばれる青緑色をした釉薬にも特徴があります。

◆信楽焼(滋賀県)

信楽焼も12世紀末から続く、日本六古窯の一つです。信楽焼と言えば、たぬきの置物が有名ですね。 ごつごつした肌合いの素朴な器で、食器の他に傘立てや植木鉢、タイルなども作られています。

◆萬古焼(三重県)

萬古焼の耐熱に優れた特性を活かし、急須や土鍋などが多く作られています。中でも土鍋のシェアは日本一です。 また、ブタをかたどった蚊遣器でも知られています。

◆備前焼(岡山県)

備前焼も日本六古窯の一つで、焼き物の原点とも言われています。 釉薬を使わず、じっくり時間をかけて焼き締めるという技法で作られる、素朴で落ち着いた器です。

◆萩焼(山口県)

萩焼はざっくりとした地の親しみが感じられる焼き物で、茶の湯の世界で愛されています。 土の暖かみを感じる器は、厚手のわりに軽く、しっくり手になじむ柔らかさがあります。

◆唐津焼(佐賀県)

唐津焼は朝鮮から影響を受けた焼き物で、西日本では「唐津物」が焼き物の代名詞でもあるそうです。 時代や技法によって、絵唐津や斑唐津、朝鮮唐津など様々に分類されます。独特の渋さがある茶碗が人気です。

私たちの暮らしに息づいている陶器。

普段何気なく使っていますが、改めて見直してみると、人の役に立つ素晴らしい陶器がたくさんありますね。

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