耐震診断のポイントと工事費用の目安

地震と建物を考える

建物の耐震化に注目が集まる中、「自宅の耐震が気になるけれど、どうしたらよいのか分からない」という声をよく伺います。

前回の記事では、耐震工事が必要なのはどんな家なのか、そして工事をするにはまず専門家による耐震診断が必要なことをお話しました。

今回は、専門家の耐震診断はどのように受ければよいのか、また、実際に工事を行う場合の費用の目安についてお伝えします。

工事の前に専門家の診断を受けましょう

それぞれの住宅に適した耐震工事を行うには、専門家による耐震診断と、それに基づいた耐震計画が必要です。このときの耐震診断は、耐震診断士として認定された建築士が行います。

多くの自治体では、旧耐震基準の木造住宅に対して耐震診断費用の補助を行っており、同時に耐震診断士の派遣や紹介も受け付けているところがありますので、まずはお住まいの自治体へ問い合わせてみましょう。

熊本県では、旧耐震の建物だけでなく、新耐震の建物であっても2016年の熊本地震で罹災した住宅には補助が出るそうです。その他にも対象となる建物の要件や補助の内容は自治体によって様々です。
以下に各都道府県の耐震計画や支援に関するリンクがまとめられていますので、お住まいの場所でどのような制度があるか調べてみてください。

都道府県の耐震改修促進計画・支援制度|(一財)日本建築防災協会

耐震診断で重視するポイント

耐震診断とは、その名の通り、その建物がどの程度の地震に耐えられるかを「診断」することです。
通常私たちが医療機関にかかるときと同様に、建物の診察や検査を行い、そこで得られた情報を基に現在の状態を判断します。
診断には専用のソフトを使用し、数値による強度や耐震等級を算出していくのですが、実は私が耐震診断を行う上で最も重視しているポイントは他にあります。

それは「建物の歴史」です。

いつ誰が建てて、どのようにメンテナンスしてきたのか、増改築や不具合があったのか等をよく聞き、実際に建物を見て推察することが一番大切な事柄だと考えています。

数値が同じであっても、歴史や保存状態が同じ建物はありません。その建物がどのような歴史をたどってきたのかをお客様に問診し、ソフトで算出された数値も考慮して、今後の方針を定めていくのです。
建物の歴史を見て注意深く推察を行い、推論を立てて判断することは、これまでの経験によるものが大きく、数値では表れない部分になるため、とても責任があることだと思っています。

耐震工事費は100~150万円の工事が最も多い

耐震診断の結果により、補強工事が必要となった場合にかかる費用は、その建物の状態や大きさ、どの程度の補強を行うかによって異なります。

日本建築防災協会の調査では、耐震改修工事は100150万円で行われることが最も多く、全体の半数以上の工事が約187万円以下で行われているとの結果が出ています。

参考:「木造住宅の耐震改修の費用 -耐震改修ってどのくらいかかるの?- 」|(一財)日本建築防災協会

また、上記の金額は「耐震改修のみ」を行った場合の費用になります。
実際には耐震改修を行うついでに、間取りを変更したり設備を新しくしたりといった通常のリフォームをご希望される方も多く、耐震改修は大規模なリフォームとなるイメージが強いのではないでしょうか。

私どものホームページ上でも、耐震の費用についてご説明しています。こちらもあわせてご覧ください。


耐震リフォームの費用について

耐震工事費用の助成制度

耐震工事費用は、自治体の補助金で実際に支払う工事費用を抑えられる場合があります。
例えば江東区では、要件を満たした建築物に対し、150万円を上限として工事費用の1/2または2/3を助成する制度があります。(2018年11月2日現在 戸建て木造住宅の耐震化|江東区

この助成金の有無や対象建築物、助成内容などは各自治体ごとに違いますので、お住まいの自治体に問い合わせてみるのがよいでしょう。

また、201910月に予定されている消費税増税に伴って、201910月以降に引き渡しを行う耐震工事についても「次世代住宅ポイント」が付与される予定とのことです。
こちらは今後平成31年度予算の成立で決定するため、本決まりではありませんが、エコリフォームのサイトにて順次情報を更新していますので、こちらも参考にしてみてください。


リフォームで最大60万円分【2019年】次世代住宅ポイント制度
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リフォーム関連の助成金については「東京23区のリフォーム助成金情報」をご覧ください。

東京23区のリフォーム助成金情報

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