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地震と建物

最終更新日:2021/03/30

リフォームで制震住宅にすることは可能ですか?

現在、木造の家に住んでいます。小さな地震でもけっこう揺れるので不安です。

最近「制震」の技術について聞き、興味を持っています。

リフォームで制震の住宅にすることは可能でしょうか? 制震の工事はどのくらいの規模になりますか?

(江戸川区・S様)

制震に関するご質問ですね。

一級建築士・耐震設計士の塩谷敏雄がお答えします。

塩谷敏雄プロフィール

リフォームでも制震住宅にすることは可能です。

ポイント

  • 繰り返す揺れにも強い「制震」について解説します。
  • 制震には制震ダンパーや制震ブレースが使用されます。
  • 耐震補強を行った上で、制震の工事をしましょう。

「耐震」は、法律でも義務付けられているように、現代の住宅には当たり前の性能になっています。より地震に強い住宅を求める方に、近年注目されているのが「制震」です。

リフォームで、木造住宅を制震住宅にすることは可能です。制震リフォームについて詳しく解説します。

制震とは?

制震とは、建物内部に設置した装置によって、地震の際の建物の振れを軽減する技術です。

リフォームでよく使われている制振装置は「ダンパー」です。粘弾性物質を使ったダンパーや、オイルを使ったダンパーがあります。

エコリフォームでよく採用している「仕口ダンパー」は、粘弾性物質によって地震の揺れを軽減する装置です。 ダンパーについては下記で詳しく解説しています。

制震ダンパーとはどのようなものですか?

制震には他にブレースやテープなども使われています。「制震ブレース」については下記のページをご覧ください。

制震ブレースとはどんなものですか?

制震ダンパー「MER SYSTEM」を採用した新築住宅。制震テープも併用しています。(江東区の新築事例より)

繰り返す揺れにも有効です

多くの方が経験されていると思いますが、地震の揺れは何度も繰り返すものです。

2016年に発生した熊本地震では、震度7が2回観測され、多くの余震が起こりました。 1度目の大きな揺れには耐えた建物が、繰り返す揺れによって倒壊した例も多かったそうです。

制振装置に使われる粘弾性物質やオイルなどは、地震のエネルギーを吸収して揺れを軽減します。 制振装置の効果は1度で損なわれることはなく、何度も繰り返す大きな揺れに対して有効に働きます。

このように効果のある制震技術ですが、木造住宅での採用は少ないのが現実です。詳しくは下記の記事をご参照ください。

木造住宅に「制震」が浸透しない理由

耐震+制震がオススメ

制震は地震の揺れを軽減する技術ですが、経年劣化などによって耐震性が著しく低下している木造住宅では、揺れを軽減する以前に建物が倒壊してしまう恐れがあります。

揺れに耐える力をもたせる「耐震」に、揺れを軽減する「制震」をプラスすることによって、耐震性がさらに上がることになります。

耐震を行うことは法律でも義務付けられています。まずは耐震補強を行い、合わせて制震の技術を盛り込むことが大切です。

耐震+制震を行ったリフォーム事例。屋根裏に仕口ダンパーを設置しました。(江東区・N様のリフォーム事例より)

工事規模は?

制震工事の工事規模はどのような装置を採用するかによって異なりますが、ここでは制震ダンパーを設置する場合をご紹介します。

制震ダンパーは、大きな開口部や構造的に弱い箇所に設置します。制震ダンパーは柱や梁などの構造体に直接設置する必要があるため、解体と復旧がセットになります。

前述のように、実際の工事は制震だけでなく、耐震も含めて計画することが重要です。 制震工事自体はそれほど規模が大きい工事ではありませんが、耐震リフォームなどと合わせて行うことをオススメします。

木造の作業場をリフォームした事例。壁の少ない建物には制震ダンパーや制震ブレースが有効です。(新宿区・青谷製作所様のリフォーム事例より)

ちなみに...

ちなみに、「制震」には「制振」という表記もあります。 前者が「地震」を制する、後者が「振動」を制する、と表記は違いますが、どちらも同じ考え方を表しています。

厳密には、「地震の振動」を制する技術=「制振」の方が正しいとされていますが、一般的には「制震」の方が普及しているため、ここでは「制震」の表記に統一して解説しました。

なお、日本建築学会では「制振」表記を推奨しているそうです。

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