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地震と建物

最終更新日:2021/03/30

制震ブレースとはどんなものですか?

築40年近い木造住宅に住んでいますが、小さな地震でもけっこう揺れます。

耐震補強をしたいと思っていろいろ調べていたら、「制震ブレース」というものを知りました。

制震ブレースとはどんなもので、地震の時はどんな風に働くのか教えてください。

(荒川区・W様)

制震ブレースに関するご質問ですね。

一級建築士・耐震設計士の塩谷敏雄がお答えします。

塩谷敏雄プロフィール

制震ブレースは、制震の働きを持つ補強材のことです。

ポイント

  • 制震は、地震の揺れを制する技術です。
  • ブレースは、鉄筋などで作られた補強材です。
  • 制震ブレースは地震の揺れを吸収して、建物を守ります。

制震ブレース=制震+ブレース

制震ブレースは、制震の働きを持つブレースのことです。「制震」と「ブレース」について、詳しく解説します。

制震とは?

制震は、文字通り、地震の揺れを制する技術です。建物内部に設置した装置や金物などが揺れを吸収し、建物への影響を減らします。

制震は元々、強風時の圧力に対抗するために開発されたと言われ、古来から伝わる「心柱(しんばしら)」も制震技術の一つです。 1300年前に建立された法隆寺五重塔にも、2012年に完成した東京スカイツリーにも、この心柱の技術が使われています。

制震については、下記のQ&Aもあわせてご覧ください。

制震ダンパーとはどのようなものですか?

法隆寺五重塔と東京スカイツリーには同じ技術が使われています。

ブレースとは?

ブレースは建築用語で、鉄筋などで作られた補強材のことを言います。 柱と梁で四角形に組まれた部分に対し、ブレースを対角線上に設置することで、建物に横から働く力に対抗します。

ブレースは、木造住宅の耐震補強で使われる筋かいと同じように作用します。地震や強風などから建物を守り、変形や倒壊を防ぐ補強材です。

ブレースの一種、外付けタイプの筋交い金物「GDブレース」を設置した事例です。(文京区・F様のリフォーム事例より)

制震ブレースの働き

制震ブレースも、基本的には他のブレースと同様に、建物の変形や倒壊を防ぐものです。 柱と柱の間や、柱から梁、または土台から柱に斜めに取り付けることで、制震ブレースが地震の揺れを吸収し、揺れ自体を制御します。

制震ブレースとして各メーカーから様々な製品が発売されています。 摩擦ダンパーやオイルダンパーを用いたもの、粘弾性体(高減衰ゴム)を用いたものなどがあります。

徐々に一般的になってきた木造住宅向けの制震ブレース。形も様々なものが開発されています。

プラスアルファとしての制震を

制震は主に大きな建築物に導入される技術で、よほど条件が整わない限り、木造住宅で完璧な制震を行うことは不可能です。 木造住宅のリフォームにおいては、「耐震」を十分に行った上で、プラスアルファとして「制震」を行う方法が取られています。

なお、建築基準法において、建物を耐震構造にすることは義務付けられていますが、制震については義務付けられていません。 制震は任意で行うオプションのような位置付けとなっています。

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