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パッシブデザインのスケルトンリフォーム

風や太陽の光などの自然エネルギーを上手に利用した、快適で省エネな住まい。そんな住まい造りは、「パッシブデザイン」と呼ばれています。

住まいを構造から見直して再生するスケルトンリフォームは、パッシブデザインを取り入れる絶好のチャンス!ここではパッシブデザインのスケルトンリフォームについてご紹介します。

パッシブデザインの家のパッシブエアコン

パッシブデザインとは?

― 暑い夏の日も、涼しく過ごせる。
― 寒い冬の日も、暖かく暮らせる。
― 住んでいるだけで、健康になる。

そんな毎日を実現するのが、パッシブデザインの住まいです。

パッシブデザインは、自然エネルギーを積極的に受け入れるデザイン。 例えば、太陽の光を取り入れてお部屋を明るくしたり、風通しを良くして空気を循環させたり、強すぎる夏のひざしは避け、穏やかな冬のひざしを使ってお部屋を温めたりするのです。

パッシブデザインの家のイメージイラスト

快適さを追求する

夏は暑く、冬は寒い。季節によって気候が異なるのは当たり前ですが、できることなら快適に過ごしたいですよね。

人が感じる快適さを測る基準として、「快適性評価(PMV:predicted mean vote)」があります。 快適性評価は「気温・湿度・気流・放射・活動量・着衣量」の6つの要素から測定されますが、パッシブデザインでは、ここから「活動量・着衣量」を除いた4つの要素を重要視します。

すなわち、「気温・湿度・気流・放射」をバランスよく調整して、誰もが快適に感じる環境を実現するのが、パッシブデザインの住まいなのです。

  • 気温

    夏は25~28度、冬は18~22度が快適な気温です。同じ気温でも、湿度によって快適さは異なります。

  • 湿度

    おおむね40~60%の湿度が最適です。夏は湿度を下げ、冬は湿度を上げた方が、より快適になります。

  • 気流

    気流は空気の流れ、風のこと。気流も快適さに影響し、暑い日でも風があれば涼しく感じられます。

  • 放射

    壁や床から直接伝わる熱のこと。冬場、室内は暖かいのに床から冷気を感じるのは、放射の影響です。

パッシブデザインにおける快適性評価のイメージイラスト

家族の健康を守る

パッシブデザインの家は、気温や湿度が充分に考慮され、快適に暮らせるだけでなく、家族の健康を守るはたらきもあります。では、気温や湿度が考慮されていないお住まいでは、どんなことが起きるのでしょう?

夏の住まいの健康被害

近年は非常に暑い夏が続き、室内でも熱中症の危険性があるほどです。湿度も高いため、アレルギー症状の原因にもなるカビやダニが繁殖しやすく、注意が必要です。

温度・湿度とダニの数の図

温度と湿度が共に高い環境ではダニの数が増加します。温度が高い場合でも、40%~70%程度の人間が快適に感じる湿度では、ダニの数はそれほど多くありません。

冬の住まいの健康被害

部屋によって温度差があると、ヒートショックの危険があります。湿度が低いためにウイルスの動きが活発になり、乾燥肌や喉の痛み、ドライアイなどの症状が出ることも。

70代男性の入浴前後の心拍数変化の図

居間と脱衣所の室温に大きな差がある環境では、入浴時の心拍数が通常より40%増加しています。急激な心拍数の増加により、ヒートショックを起こす可能性があります。

このように、ゆっくり安らげるはずのお住まいで、健康が脅かされる可能性があるのです。その点、パッシブデザインの家では、一年中、温度も湿度も快適な状態に保たれるので、このような健康被害の心配がなくなります。

人間にとって快適な環境は、カビやダニ、ウイルスにとって快適とは言えません。だから、快適さが健康へとつながっていくのです。

うれしい省エネ効果

暑い夏は、エアコンや扇風機を使って涼しく過ごし、寒い冬は、こたつやストーブを使って部屋を暖めます。こうした機器を動かしているのは、電気やガス、石油など、すべて地球の資源から生み出されたエネルギーです。人間が快適に過ごすために、多くのエネルギー資源を使っていることになります。エネルギー資源は無限ではありません。みんなが大量にエネルギーを消費していたら、いつか枯渇してしまう日が来るのです。

― 夏の強いひざしは遮り、涼しい風を上手に取り込む。
―冬の暖かなひざしは受け入れ、冷たい風をシャットアウトする。

パッシブデザインでは、このように自然の力をうまく受け入れて、少ないエネルギーで快適な環境を実現します。パッシブデザインの家は省エネだから、ずっと快適な状態を続けられるのです。

光熱費もお得に!

自然の力を利用しているから、光熱費もぐーんとお得になります。 パッシブデザインの住まいにリフォームされたS様邸の電気使用量と電気料金の変化をご覧ください。

9月はまだまだ残暑が厳しくエアコンが必要だったそうですが、電気使用量は3割減になっています。10月、11月はエアコンをそれほど使用しないシーズンですが、それでも約2割減となりました。

真夏や真冬など、エアコンがフル稼働するシーズンでも電気料金が安くて済むのがうれしいですね。

リフォーム前後の電気使用量と電気料金の変化

リフォーム後は電気料金がかなり安くなりました。(台東区・S様邸)

パッシブデザインのここがすごい

パッシブデザインでは、どのようにして健康になれる快適な住まいを実現するのでしょうか。

重要なのは、「断熱・遮熱・通風・採光」の4つの機能が活かされるように設計すること。自然の力を利用しながら、住まいの持つ性能を最大限に引き出し、バランス良く上手に組み合わせることで、快適・健康な住まいになるのです。

ここでは、「断熱・遮熱・通風・採光」の4つの機能を解説します。

「断熱・遮熱・通風・採光」に支えられるパッシブデザインの家のイメージイラスト

断熱 ― 熱が伝わらないようにする

パッシブデザインでは、「断熱」によって、室内を快適に保ちます。

断熱とは、熱が伝わらないようにすることです。住まいを断熱すると熱が伝わりにくくなり、夏の熱気も冬の冷気も室内に入ってこないため、室温が一定に保たれるようになります。

魔法瓶の内部が真空によって外部と隔てられ、温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいまま保たれるのと同じ原理です。

断熱された家と魔法瓶のイメージイラスト

夏の断熱された住まい

夏の強い日差しが生み出す熱は、主に屋根から室内に入ってきます。屋根と天井の断熱性を上げれば、室温の上昇が抑えられ、暑い時期でも涼しく過ごせます。

冬の断熱された住まい

冬場の屋外の冷気は、壁から室内に伝わってきます。壁の断熱性が高い家なら、冷気も伝わらず、暖められた室内の空気が屋外へ逃げることもありません。

家の断熱性能を大きく改善できることは、スケルトンリフォームの大きなメリットの一つです。スケルトンの状態まで解体することで、根本から建物の断熱性を上げることが可能になります。

スケルトンにすると、リフォーム前の断熱形態がよくわかります。経年している住宅では、そもそも断熱材が使われていないか、質の良くない断熱材がへたって下にたまった状態になっていることが多いです。施工方法が良くなかったり、間違っていたりして、断熱材の効果が発揮されていない例もよく見かけました。高性能な断熱材を的確に施工することが大切です。

以前スケルトンリフォームをされた方に、その後の環境について聞いたところ、「夏場のクーラーは30度の設定で十分でした」とのお答えでした。冷暖房がまったく必要なくなるわけではありませんが、光熱費はかなり節約できているそうです。

リフォームに合わせて窓サッシも最新のものに交換すれば、さらに快適なお住まいになります。スケルトンリフォームに合わせて断熱性能を一新しましょう。

エコリフォーム施工責任者 塩谷敏雄

遮熱 ― 熱をさえぎる

パッシブデザインで、断熱の次に重視されているのが「遮熱」です。

遮熱とは、太陽から受ける熱をさえぎること。日光が直接当たる窓と屋根を遮熱することで、太陽の熱に影響されにくい室内環境にすることができます。 遮熱は日照時間の長い夏場が特に効果的で、強い真夏の日光から家を守り、室内の温度を快適に保つ助けになります。

窓の遮熱

夏に屋外から室内へ入ってくる熱は、なんと「74%」が窓からのもの。すだれを設置したり、軒やひさしを長めに取るだけでも遮熱効果が得られます。

Low-Eガラスの構造のイメージイラスト

スケルトンリフォームをするなら「Low-Eガラス」などの機能的な窓ガラスもおすすめ。Low-Eガラスは内部の金属膜が日光をカットして、室内に入る熱を抑えてくれます。

屋根の遮熱

屋根を外側から遮熱するには、遮熱効果のある屋根材や遮熱塗料を使用します。屋根の内側(天井部分)にも遮熱シートを施工すると、より効果的です。

棟換気システムのイメージイラスト

屋根に通気層を設ける「棟換気システム」なら、室内の熱と湿気が通気層を通って排出されます。棟換気システムで室内が快適に保たれ、カビや結露の予防にもつながります。

パッシブエアコンでさらに快適

パッシブデザインの家に最適なパッシブエアコンは、24時間365日、住まいを快適に保つ全館空調システムです。

熱気は上へ上がり、冷気は下へ下がります。パッシブエアコンは、夏には冷たい空気を上から、冬には暖かい空気を下から吹き出すので、部屋全体をむらなく快適温度に保ちます。

さらに全館空調なので、家中どこでも同じ室温。夏は家全体を効率的に涼しくでき、冬はヒートショック防止にも役立ちます。床下に空気が循環する仕組みになっているので、結露を防止する効果もあります。

夏と冬のパッシブエアコンのイメージイラスト

パッシブエアコンの動作イメージ。夏と冬で空気の流れが異なります。

通風 ― 風通しを良くする

外は風が吹いているのに、窓を開けても風が入ってこない。そんな経験はありませんか? 通風のためには、風の入口と出口の両方が必要です。室内をきちんと風が通り抜け、空気が循環するように設計するのも、パッシブデザインのポイントになります。

壁と平行に吹いている風は、あまり室内に入ってきません。住宅密集地では風の通り道が少ないため、通風が良くない家も多いのです。

こうした家では、「ウインドキャッチャー効果」を利用して窓の形と位置を工夫し、風をしっかりつかまえるのがおすすめです。 ウインドキャッチャー効果の高い窓は、そうでない窓に比べて、室内の通風量が10倍になるという研究結果も出ています。

参考:LIXILニュースリリース

ウインドキャッチャー効果のイメージイラスト

採光 ― 光を採り入れる

太陽の光を積極的に活用して、明るい部屋を省エネルギーで実現するのもパッシブデザインの一つです。 光を採り入れるための工夫として、下記のような例があげられます。

吹き抜け+高い位置の窓

お隣と接している住宅密集地では、1階窓からの採光は難しいもの。吹き抜けにして高い位置に窓を設けることで光を採り込めます。

ロフトの窓から光が差し込みます。(台東区・S様邸)

天窓

採光には天窓も非常に有効です。2階の床に「ひかり床」を設置して、天窓からの光を1階まで届けるような構造にする場合もあります。

天窓とひかり床を設置しました。(目黒区・S様邸)

半透明の建具

玄関や窓から入る光を奥まった部屋に届けるために使われるのが半透明の建具。光を通すので、隣のお部屋まで明るくできます。

半透明の建具で、光がリビングまで届きます。(中央区・K様邸)

パッシブデザインの家は、夏涼しくて、冬暖かい住まいです。 みなさんにもぜひこの快適さを実感していただきたいと思います。 それに、自然の力を利用しているから、光熱費も少なくて済むのがうれしいですね。

私たちの施工するリフォームでは、ワンフロアのリフォームや部分リフォームでも、パッシブデザインの考え方が取り入れられています。リフォーム事例のコーナーをチェックしてみてくださいね。

リフォーム事例

エコリフォーム代表 塩谷理枝

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