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耐震リフォームの方法

2011年の東日本大震災以来、日本各地でたびたび大きな地震が発生しています。「我が家も地震に備えなければ...」と感じたら、耐震リフォームの流れや、どのような耐震補強工事が行われるのかを具体的に知っておくことが大切です。

正しい知識を得ることで悪徳業者を避け、ご自宅に必要十分な耐震リフォームを行いましょう。

耐震金物で補強された柱

耐震リフォームの流れ

耐震リフォームを経験したことがある方はそう多くありません。地震に強い家にしたいと思っても、「何から手を付けたらいいのかわからない」と思われる方がほとんどでしょう。 まずは耐震リフォームの大まかな流れを知っておきましょう。

  1. 1. 耐震診断

    まずはじめに耐震診断を依頼しましょう。補助金が支給されたり、業者を紹介してくれることもあるので、お住まいの市区町村に相談してみるのがおすすめです。

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    公的な資格を持つ施工責任者の塩谷敏雄が耐震診断を行っています。非破壊で調査した内容を基に建物の強度を計算し、詳細な報告書を作成します。

  2. 2. 耐震補強設計

    耐震診断の結果を受けて、耐震補強設計を行います。診断方法や設計方針が異なることも考えられるため、診断と設計は同じ業者に依頼することをおすすめします。

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    塩谷敏雄が豊富な耐震改修の経験を活かして、建物のどの部分をどのように補強すれば良いかを考え、綿密な改修計画を立てます。

  3. 3. 耐震補強工事

    診断、設計の次はいよいよ耐震補強工事です。工事が終わると見えなくなってしまう部分が多いため、途中で確認させてもらえるよう業者に依頼すると良いでしょう。

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    工事中の現場を必ずお客様にチェックしていただきます。計画通りに工事が進んでいるかをご確認いただきながら工事を進めます。

  4. 4. アフターメンテナンス

    適切なメンテナンスを施さないと建物は徐々に劣化してしまい、ひいては耐震性の低下にもつながります。メンテナンス方法を業者に確認しておくようにしましょう。

    エコリフォームでは...
    リフォーム後のお住まいを守るお手伝いをしています。リフォーム後の不具合や定期的な点検など、お気軽にご連絡ください。

耐震診断のご案内

耐震診断ではどのような検査が行われるかご存知ですか? エコリフォームが実施している耐震診断について、詳しくご紹介します。

一般診断法で耐震診断しています

耐震診断には、非破壊で行う「一般診断法」と、調査に一部解体を伴う「精密診断法」があり、エコリフォームでは一般診断法で耐震診断を行っています。

一般診断法は家を解体しないため、補修する必要はありません。 非破壊の検査では精度が低いと思われるかもしれませんが、一般診断法は一定の精度が認められています。 一方、精密診断法は一般診断法に比べて精度が高いですが、耐震診断後に解体した箇所を補修する必要が生じます。

耐震診断の際は、一級建築士の塩谷敏雄が家の図面を元にして、家の傾きや外壁の様子、家の内部の劣化部分などを確認し、計測します。このデータを元に専用のソフトで数値を算出し、詳細な調査報告書を作成します。

※なお、図面をお持ちでない場合は有償で作成しています。

耐震診断については、「地震と建物を考える」ブログの記事もご参照ください。

耐震診断のポイントと工事費用の目安

耐震診断の方法のイメージイラスト

実際の耐震診断の様子

エコリフォームが過去に行った耐震診断の様子を写真でご紹介します。

屋根裏のチェック

床下のチェック

壁のチェック

外壁のクラックの確認

建物の傾きのチェック

センサーで柱の位置を確認

耐震診断ができないケース

3階建ての木造住宅で構造計算書が無い場合は、診断に必要なデータが足りないため、耐震診断を行うことができません。 また、長屋やテラスハウスのように何軒かが壁を共有しているタイプの建物は、計算上、合わせて1軒の建物と見なされます。 耐震診断は建物ごとに行われるため、建物内のすべての住居を調査しないと、結果を出すことができません。 費用もかかることから、実際のケースではなかなか実現が難しいようです。

上記のように耐震診断ができないケースでは、耐震性を数値で表すことができませんが、お客様の了解を得て可能な範囲で耐震リフォームを行うこともあります。ただし、耐震性を保証できないため、助成制度等の利用は難しくなります。

耐震診断の費用

耐震診断にかかる費用は、建物の構造と大きさによって異なります。エコリフォームが主に手がける50平米程度の木造住宅では、診断費用が20~30万円となっています。日本耐震診断協会のサイトでは、120平米の木造住宅で20~50万円が目安とされています。小さな建物は診断費用が比較的安くなりますが、最低でも20万円程度は必要とお考えください。

参考:一般財団法人 日本耐震診断協会

また、東京23区の各区では、それぞれ耐震診断の助成制度が設けられています。事前に申請が必要な場合や、区内の指定業者が診断した場合など、様々な条件が決められています。 各区の助成金については、下記にまとめています。お住まいの区の制度をご確認ください。

東京23区のリフォーム耐震助成金

木造住宅の耐震診断費用のイメージイラスト

耐震診断費用の目安です。様々な条件によって金額が変わってきます。

基礎の耐震補強

基礎は建物と地盤をつなぎ、建物を支えている部分です。耐震リフォームの際は、何よりもまず基礎をしっかりと補強することが重要です。

基礎にはベタ基礎、布基礎などの種類があり、建物によって状態も異なります。古い木造住宅では、基礎が不十分だったり、鉄筋が入っていなかったり、地盤沈下で埋没していたりします。エコリフォームでは、基礎の種類と状態に合わせて、最適な補強方法をご提案しています。

補強例1:アラミド繊維による補強

現在では、コンクリートと鉄筋で基礎を造ることが法律で定められていますが、昔の住宅ではコンクリートのみの基礎もよく見られました。こうした基礎を比較的手軽に補強できるのが、アラミド繊維です。基礎の上からテープのように貼り付けるだけで、基礎を強固にすることができます。解体が最小限で済むため、工期も短縮できます。アラミド繊維について詳しくは下記をご覧ください。

基礎を補強する素材

補強例2:新しい基礎を追加しての補強

地盤沈下で基礎が埋没している場合は、既存の基礎の上に新しい基礎を造る必要があります。こちらの例では、建物をジャッキアップして持ち上げた状態で新しい基礎と土台を造り、床下にコンクリートを流し込んで補強しました。基礎を高くすると雨水を防ぐ効果もあり、建物の寿命を延ばすことにもつながります。

補強例3:基礎を造り直す補強

1階が駐車場の建物などでは、基礎を造り直す場合もあります。リフォームでは基礎の撤去が難しい場合もありますが、こちらのお住まいは1階が全面車庫だったため、既存の基礎を撤去することが可能でした。新しく造った基礎は、鉄筋を増やして耐震性能を上げました。建物外周の基礎は撤去できなかったため、既存の基礎の隣に新しい基礎を造って結合しています。

追加工事が発生することも

通常、基礎補強計画は、基礎の状態を予想した上で作成します。実際の基礎は、解体しないと見ることができないためです。

解体後、予想以上に劣化が進んでいたり、予想とは異なる工法だったりした場合、補強計画を変更する必要がでてきます。基礎補強はやらないで済ませることができないものなので、特に築年数の長い建物の耐震リフォームでは、予算に余裕を見ておくことをおすすめします。

壁と構造の耐震補強

壁が不十分な家、壁のバランスが悪い家は、大きな地震で倒壊する危険があります。耐震診断の結果に合わせて、新しく壁を造ったり、必要な箇所に筋交いや耐震金物を入れるなどして補強すると良いでしょう。

壁と構造の具体的な耐震補強方法をご紹介します。

耐力壁とは?

地震や風などの横からの力に対抗して、建物を支える壁が「耐力壁」です。木造軸組工法の住宅では、柱の間に筋交いを取り付けた壁や、構造用合板を規定の釘で打ち付けた壁が、耐力壁となります。

耐力壁は構造にしっかり固定されていることが重要で、梁や柱がどんなに立派でも、耐力壁が足りなければ地震に耐えることはできません。また、窓などの開口部のある壁は、耐力壁にはなりません。

なお、耐力壁を造ることが難しい箇所では、耐震金物の一種「コボット」を使うことで、耐力壁と同等の強度を得ることができます。

耐震金物コボット

コボットを採用した事例(工事中)

コボットは梁にしっかりと固定します。(江東区・K様邸)

コボットを採用した事例(完成)

耐震性は保ちながら、オープンな空間を実現しました。(江東区・K様邸)

バランスのいい壁とは?

昔の木造住宅は、建物の南側に大きな窓がいくつもあったり、部屋の間仕切りが襖と障子だけだったりします。こうした住宅の耐震性を上げるには、耐力壁を増やしていく必要がありますが、耐力壁をやたらに増やしても耐震性は上がりません。木造住宅の耐震補強においては、耐力壁をどのように配置するかがとても重要なのです。

耐震診断の結果を参照しながら、一方向だけに偏らないようにバランス良く耐力壁を配置することで、地震の横揺れに対して正しい抵抗力が働くようになります。一見、耐力壁が十分あるように見えても、無理な増改築を行っていたり、無計画な補強をしたりしている建物は、耐力壁のバランスが良くない可能性があります。必要な場所に必要な量の耐力壁を配置することが大切です。

仕口、継手の補強

地震の規模や種類によって地面の揺れ方は異なります。横揺れに強い耐力壁だけではなく、縦揺れに対抗できる補強が必要です。阪神淡路大震災では、大きな縦揺れによって家が基礎から外れたために倒壊に至ったケースが見られました。

木造住宅では、柱と梁のように、木材を組み合わせて直角に接合する構造を「仕口(しぐち)」と言います。また、長さが足りない時に木材を直線に継ぎ足す構造を「継手(つぎて)」と言います。

仕口と継手には地震の時に特に大きな力がかかります。 昔からの大工さんの知恵で、仕口と継手には材木をしっかりと繋ぐ技が受け継がれていましたが、現在では耐震金物による補強が広く行われるようになっています。

スケルトンリフォームのために解体した様子

解体後の建物。建築当時は耐震金物が使われていませんでした。(江東区・E様邸)

耐震金物による補強

地震の時は様々な方向から建物に力が加わるため、横揺れに強い建物であっても、柱が抜けてしまって倒壊することがあります。地震の力は、建物の弱い部分、つまり木材の接合部分に集中するため、耐震金物による補強が欠かせないのです。

耐震金物はむやみに付ければ良いというものではなく、適材適所があります。筋交いプレートやホールダウン金物、アンカーボルトなど、接合箇所によって適切な耐震金物を設置します。適切でない箇所に設置すると、地震の際に悪影響を及ぼすこともあるため、木造住宅の構造に詳しい業者に依頼することをおすすめします。

また、いざ地震!という時に、耐震金物がきちんと機能しなかったら大変です。エコリフォームでは、お客様の安全と安心のため、日本住宅・木材技術センターの認定を受けた「Zマーク表示金物」を使用しています。

参考:財団法人 日本住宅・木材技術センター

「リフォーム自然素材」のコーナーで様々な耐震金物をご紹介しています。こちらもご参照ください。

耐震補強金物

耐震金物設置の様子

接合箇所によって異なる耐震金物が使われています。(文京区・N様邸)

土台・柱・梁をトータルに補強

私たちが手がけた過去の耐震リフォームでも、柱が腐ってブランブランになっていたり、土台がシロアリ被害でほとんで残っていなかったりといった事例がありました。そのまま暮らしていたらと思うと、恐ろしいですね。このように劣化が激しい建物は、耐震性がほとんどない状態です。壁を補強するだけではなく、土台を入れ替え、柱と梁を交換し、不足している柱を追加して、建物全体をトータルに補強する必要があります。

また、間取りを変更すると柱が邪魔になることがしばしばありますが、耐震性を保つために必要な柱は必ず残します。既存の柱を撤去する場合も、きちんと耐震性を計算した上で行い、他の箇所を補強して強度不足を補います。

屋根の耐震補強

耐震性を上げるには、屋根も重要です。地震の力は、地面から離れていて重量がある箇所ほど、大きな影響を与えます。これは、建物の重心が高い位置になるためです。

つまり、地面から最も離れている屋根の重さによって、建物の揺れ方が変わってくるということです。 軽い屋根なら揺れが少なくて済みますが、重い屋根では大きく揺れることになります。 例えば、収納棚の上の方に重い物を乗せておいたら、ちょっとしたことで倒れてしまうのと同じです。

ですから、屋根の耐震補強で重視したいのは、何と言っても軽量化。屋根が軽ければ建物への負担は少なくなり、耐震性も高くなります。

軽い屋根と重い屋根の比較イメージ

屋根を軽くするには?

昔ながらの瓦は耐久性に優れた素材ですが、重量が重いことが難点です。耐震性を重視するなら、軽い屋根材への葺き替えをおすすめします。軽い屋根材としては、化粧スレート、ガルバリウム鋼板、アスファルトシングルなどがあげられます。瓦屋根を好まれる方には、通常の瓦に比べて20%ほど軽量化した軽量瓦という選択肢もありますよ。

屋根を軽くする工事は、単体で行うことができ、住みながらの工事も可能です。耐震補強にかける予算があまりない場合は、屋根の工事をするのが、最も費用対効果が高いと言えます。屋根材については下記のページもあわせてご覧ください。

屋根材とイーストルーフ通気メタル

補強例1:化粧スレートに葺き替え

化粧スレートはセメントと繊維を原料にして作られる素材です。化粧スレートの屋根は瓦屋根の1/2程度の重さになります。バリエーションが多く施工がしやすいため、広く使われている屋根材です。こちらの事例では築50年になる木造住宅の屋根を葺き替えました。古い瓦屋根を下地まですべて撤去し、新しい屋根下地を造って防水シートを施工しました。最後に化粧スレートを施工して完成です。

補強例2:ガルバリウム鋼板に葺き替え

ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛合金をメッキした素材です。ガルバリウム鋼板は、瓦の1/9程度の重さで非常に軽量です。また、耐久性が高く丈夫なことで知られています。事例のお住まいは劣化が激しかったため、建物が倒壊しないよう、リフォーム工事のはじめにまず屋根瓦を撤去しています。屋根を支える小屋根を造り直してから、新しくガルバリウム鋼板の屋根を葺きました。

耐震リフォームの様々なケースや耐震補強方法をご紹介しましたが、一人ひとりが違っているように、お住まいも一つひとつ違うものです。一概にこの耐震方法がいい、とおすすめできるわけではありません。 きちんと耐震診断を行い、お客様のご要望をよくうかがった上で、その家に最適な耐震リフォームをご提案しています。

様々な耐震リフォームの事例をご覧になって、建物によって異なる耐震リフォームを行っていることを知っていただけると幸いです。

耐震補強リフォーム事例

エコリフォーム代表 塩谷理枝

一級建築士による無料セミナー「知っておきたい!正しい木造住宅の耐震」

エコリフォームでは、木造住宅の耐震に関する無料セミナーを不定期に開催しています。 地震が不安な方、耐震補強について知りたい方を対象に、一級建築士の塩谷敏雄が耐震リフォームについてわかりやすく解説します。詳しくは下記のページをご覧ください。

知っておきたい!正しい木造住宅の耐震

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